1963年9金無垢ピンクゴールド★IWC オールドインター★ペラトンCal.3541

ダイアルには1960年、50年前の年輪を現代に伝える如し、経年のヤケが全体に広がっている。最高のビンテージというスパイスが、この一品の果てしないロマンへと駆り立てていく….
そしてそこに待っていた9金無垢ピンクゴールドという現実がそこにある。1920年から主流として使用されてきた9金無垢、当時5分割と言われ、37.5％の金に銅と銀を5分ずつ混ぜ込み仕上げられ9金無垢という世界。金が少ない分、比重が軽くなり腕にやさしいフィット感を与え、銅が多くなる分、14、18金無垢より固くなり丈夫になりやすい。40年代に入り、9金無垢が少なり市場から消えていってしまった現実の中での今回の希少すぎる逸品、当然、その中でも9金無垢ピンクゴールドは非常に少なく、IWCとしてはまず、見かけることもないと言っても過言ではない。まず世界市場に影も形も存在しないほどである。。しかも1960年のオーマティック”Cal.853″となると出会うことが奇跡と言えよう。そんな淡く、優しい光を放ち、腕に嵌めた瞬間、腕にかかる存在感を感じさせない自然な装着感として9金無垢という良さを全面に押し出した一品と言えよう。そして一番気になるペラトンという重み、それは1946年、アルバート・ペラトンにより、ペラトン式特許取得、1850年、IWC初のオートマィックCal.85(8400個)、Cal.81(1800個)同時開発、1年間で生産終了。1951年、Cal.852生産開始、9年間で50400個製造、そして1955年、IWC初の耐磁モデル”インヂュニア誕生と同時に1958年、Cal.853が生まれ、ジャガー社に買収されるまでの1969年までの”Cal.854″へと引き継がれていく。今回の逸品に搭載されるは、当然、”853キャリ”にデイト機能をつけ”ラストナンバー”1″をつけた”Cal.8531″が、確実なその巻き上げ効率を約束する。ローターが回る度に、ロッキングバーが上下し両方からの回転を整流へと導き、それに伴い銅メッキされた2本のクリックアームがラチェットホイールを確実に巻きあげていく。当然、その動きが大胆且つ豪快であるがゆえ、ムーブメント内でのスペースが必要となり、不動角差も大きいが、歯車で形成されいてない分磨耗にも強く耐久性にも優れ、切り替え車の無い分だけ、ダイレクトに動力を伝えるプロセスは巻き上げの確実性は半端ではない現実へと導いた。そしてその結果生み出されたペラトン独特の静かなローターサウンドは哀愁のような深い味わいを心の奥にまで感させてくれるであろう。