“ロレックスマルコーニ”
様々な時計が世界中で販売されているが、実はほとんどが、偽物である。その定義とは誰もが知らない現実がそこにはあったが、今回、POWER WATCHの雑誌のコラムを見て頂いている多くの方々からネットでロレックス マルコーニを売っているのがあるが偽者かどうか、又、当社が真偽鑑定をさせて頂いている業者の方からも、マルコーニのついて世界中の文献を探しても誰も掲載していない、購入すべきかを聞かれる機会が増えたことで、今回、2回に渡りお話しをしたい。そしてマルコーニの話をする上で登場人物としてこの一本をご紹介したい。
“ROLEX MARCONI Ref.038 OYSTER WATCH COMPANY”
実はこのロレックス マルコーニもそうだが、以前、当社のホームページでも掲載したロレックス ユニコーンの謎解きのように、共通点があり、その共通点こそが、マルコーニ、ユニコーンとも誕生の始まりと言っても過言ではない。
ロレックスが最初に世界にその名が知られるようになった出来事を知っているだろうか? ロレックス社となる前身である創業者であるハンス・ウイルスドルフ(Hans Wilsdorf)と義兄弟であるアルフレッド・ジェームズ・デイビス(Alfred James Davis)とイギリスで立ち上げた”ウイルス&デイビス社、ご存じ、よく1930年頃までのロレックスのケースの裏に刻印されている”W&D”紋章の会社である。そのウイルス&デイビス社として1910年に小型レバー脱進機を搭載した時計をビエンヌの公式精度検定局に出して世界で初めて腕時計として公認歩度証明書(クロノメーター)を取得したことで、小型化されたレバー脱進機を乗せた時計が懐中時計と同じ精度をたたき出すことを証明し、スイス時計産業において革命を起こしたと言っても過言ではない。そのレバー脱進機を提供したメーカーはどこか? 当然ウイルス&デイビス社は、機械の開発に投資はしていたものの販売会社とした商社であり製造業ではない。ではどこが、実はここにマルコーニたる名が1911年に誕生してくる。1911年1月24日、ウイルス&デイビス社としてマルコーニ レバー脱進機として商標登録をしている。そしてこのマルコーニレバーの製造会社として登録されているのが、GENERAL WATCH COMPANY/ジェネラルウオッチカンパニーである。そしてこの二つの会社の共通点は、ウイルス&デイビス社は当時の事務所の所在地でもあったLa Chaux-de-Fonds(ラ・ショー=ド=フォン)でマルコーニレバーを登録し、ジェネラルウオッチカンパニーはラ・ショー=ド=フォンで創業し、後、ビエンヌに移転している。この二つの都市も共通している。これはジョン・エグラー以外にハンスは投資をし、機械部品の開発を考案し、ジェネラルウオッチカンパニーに作らせていた、あるいは権利自体を買い取ったのではないかと推測する。その後、ロレックス社として登録した後でもハンス・ウイルスドルフ.ロレックスウオッチとして1923年8月31日ににマルコーニ プリマ(PRIMA)、スペシャル、スタンダードとして商標登録し、11月20日にはマルコーニ ウオッチとして初めて商品登録している。そしてハンスは後にDAMAS社としてエボーシュメーカーとした当時Beguelin(ベゲリン)社にマルコーニレバーを搭載した機械を作らせ、完全なるハンス・ウイルスドルフの考案した時計として世にだしたと言えよう。その場合にマルコーニウオッチとして販売する時計には、その意味たるMARCOINIの刻印を角穴車に刻み、文字盤にはそのマルコーニを印象づける為に文字盤にはROLEX MARCONIと名を刻んだ。同様にユニコーンも実は1919年5月17日にハンス・ウイルスドルフとしてユニコーンレバー脱進機として商標登録している。面白いことに1923年11月20日にはその脱進機の名をとり、UNICORN WATCHとして商標登録し、ユニコーンブランドの機械もBeguelin(ベゲリン)社製である。マルコーニウオッチとユニコーンウオッチは全く同じ日に同じレバー脱進機から名をとり、ブランド名として商標登録している。当然、ユニコーンブランドの場合にも角穴車にUNICORNの名を刻む。そしてこの二つともブランド名としたが、ロレックスのブランドであり、脱進機を軸にしたことで、文字盤には今迄の定説であったロレックスブランドとの格差をつける為にROLEXの名を入れないではなく、ROLEXの名を必ず文字盤に入れる必要があった。これはエグラー社と違うラインとして様々な方面からロッレクスはマーケティング戦略として1910年の世界初腕時計のクロノメーターとしての機械を世に出した威厳と何よりもROLEXブランドのカッコたる確立をあらゆる方面から見いだしていったのではないだろうか、特にビエンヌでのジョン・エグラーとビエンヌ社とハンスに惹かれるようビエンヌに移転したジェネラルウオッチとは全く接点がなく、関係した資料も全くない、そこにハンス・ウイルスドルフとの奇妙な三角関係、そしてBeguelin(ベゲリン)社の存在。ファミリー企業としてあえてハンス・ウイルスドルフのロレックス社と独立した道を歩みながらロレックス・ビエンヌとして共にロレックスと歩んだエグラー社を緊迫した関係を作ることでハンスは3社、そしてそれ以外の業者をうまく使いわけをしたのかもしれない。
ほとんどのスイス時計メーカーが時計職人から誕生し、その歴史そのものがブランド価値とした時代に、小型化にしたレバー脱進機を腕時計に搭載し公式認定局に時計職人の道を持たず、営業マンとして時計メーカーを立ち上げたハンス・ウイルスドルフ自身が、その自らの名で申請し、1910年に世界で初めてクロノメーターを取得した偉大な偉業は、ハンス・ウイルスドルフ自身の名で、翌年にマルコーニレバー、ユニコーンレバー脱進機として商標登録した。根強く残る時計職人達のプライドで築かれたスイス産業に対して、当時異端児としたハンス自身のある意味、挑戦状であったのかもしれない。
そんなお話しをしながら、今回の主役であるこの一品が、このストーリーを完結へと導く。1927年にハンス・ウイルスドルフ自身が会社登記をしたOYSTER WATCH COMPANYとして製造されたこの一品はロレックスとの共有オイスターケースで裏蓋の刻印”SNOWITE”の意味たるニッケルクロムメッキの独特の風合いを醸し出し、龍頭はロレックス社のオイスターMMのビッグ竜頭。機械は今回のストーリーの主役の一つであるゴールドメッキされた特徴のあるBeguelin(ベゲリン)社製ムーブメントのキャリバー51系。当然、角穴車にMARCONIの刻印がある。そして文字盤は3マイクロシーベルトとして放射線をしっかりと検知した純正の文字盤であるが、上から綺麗に直しが施されている。この放射線数値がロレックスの同ケースモデルであった場合には、放射線の数値が20マイクロシーベルト以上であることからも、ロレックスとの格差は夜光にも関係していたことになる。そのストーリーを語る唯一の一品であることをお伝えしておこう