2時位置の爽快なクロノグラフの操作感、少しの力でそのクロノグラフの伝達としての鼓動を伝える。オペレーティングレバーから8枚歯のピラーホイールにかかり、カップリングクラッチからドライビングホイールへとその時の鼓動はストップウオッチとしての役割を果たし始めることとなる。2時位置のスタートとストップの役割を同プッシャーで果たすように、2時位置プッシャーを押しその後、4時位置のリセットボタンをよりリセットハンマーが大きく振れ、ハートカムを叩き、それまで動き始めた秒、そしてスライディングギアにより連動した分積算計も正位置にその針を0ポジションという名の元に戻り始める。
しかしそのストップウオッチ機能を動作させた後、2時位置のプッシャーを押さずに、4時位置のプッシャーを押したその先の伝説となるこの名機の最高のストーリーはフライングバックという秒積算計が0ポジションに戻った瞬間、又動きだした….
“キャリバー30CH”ストーリー……
1961年、人類が月に世界で初めて足を踏み入れる計画がアメリカNASAで始まった。アメリカン法により、エルジン、ブローバ、グリュエン、ハミルトン、ミドー、そしてスイス勢からは、ブライトリング、ホイヤー、ジラール・ペルゴ、ロレックスなどそうそうたるメーカー、そして日本からもセイコーがその見積もりの対象となり、12時の間積算計クロノグラフを対象とし、マーキュリー計画と過酷なテストが同時に始まった。1965年、4年に及ぶテストの結果、最後まで残ったのはロレックス、ロンジン、オメガの3社であり、そこにはアメリカン法の適用は無く政治的しがらみの全く無い選定の結果であったのは言うまでも無い。しかしロンジンは減圧テスト中にガラスが歪み外れてしまうという結果に終わった。それは1832年マニュファクチュールとして誕生し、ロイヤルアスコットレース、テニス界グランドスラム、アルペンスキー世界大会などにおいて公式タイムキーパーを務めるなど、クロノグラフのマニュファクチュールとして世界一とまで言われたロンジンの華やかな時代が、そのアポロ計画の最終選定の結果と、クオーツショック、オイルショック到来と同時に幕を閉じた。しかしそのロンジンの名声を我が物としたストーリーは、リンドバーグ、そしてウィームス、そしてアーデコスタイルの名機達もこの世に生を成し、そしてそのロンジンのクロノグラフストーリーとして1910年Cal.13.33ロノグラフキャリ誕生。一時、バルジュGHTを搭載するが、後1936年”Cal.13ZN”、そして1947年”30CH”を誕生させ、1957年、”Cal.530”により世界のクロノグラフの頂点を極めたのは揺るぎない事実である。
そんなストーリーの今回の主役となる”キャリバー30CH”。スケールが薄れているが、レッドのタキメーターにブルーのテレメーターを文字盤に繊細に描き、ミネルバ30CHと共に比較されるが、ビッグアイとも呼ばれた世界最高峰クロノグラフとしての威厳が大きなクロノグラフのインダイアルに魂を宿している言っても過言ではない。













